『法華経』に学ぶ
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わかりやすくまとめれば、左のようになります。 「三周説法」譬喩説周 『譬喩品』釈尊の説法         『信解品』仏弟子の告白「長者窮子の喩え」         『薬草喩品』釈尊の説法「三さん草そう二に木もくの喩え」この章には釈尊の教化法を、大地を覆う雲、そして降り注ぐ雨によって、大地に繁茂する大小さまざまな草や樹木が成育を遂げ、花を咲かせ実をつけることに喩えた物語です。すなわち法華七喩の第三番目にあたる「三草二木の喩え」が説かれています。このことからすれば『三草二木喩品』あるいは『三草二木品』と名付けられても良さそうに思いますが『薬草喩品』と名付けられています。そのことについて、天台大師の『法華文句』に訊ねますと、さまざまな草や樹木の中でも、薬「三車火宅の喩え」  ↓ ↓      (正説段) (領解段)草となる草木には人々の健康状態を保持する、あるいは病を癒すなどの効能があります。すなわち、薬草は薬の王、薬王ともいえますから『薬草喩品』と名付けられた、との解説が見られます。また、教化を受ける仏弟子たちに関連して考えますと、釈尊の真実を理解した仏弟子たちは、自身がそれを理解するだけにとどまらず、他者にそ(述成段)れを伝え導く行動を起こし、そして利益を与えます。つまり、薬草の如くに人々の生命活動を支え、心身の病を癒す行動を起こすということですから、それらのことから仏弟子を薬草に喩え『薬草喩品』と名付けられた、ともあります。それでは経文を訊ねてまいりましょう。場面は冒頭にお話した、摩訶迦葉が釈尊の巧みな教化について讃歎し、その大恩に報いることの困難さを告白し終えたその時です。 「まことに結構です。まことに結構です。迦葉よ、仏に具わる功徳について「長者窮子の喩え」-114-

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