『法華経』に学ぶ
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をもって実に正しく、的を射た説明をしてくれました。あなた達が言うとおり仏には、はかり知ることのできない無量、無辺、阿僧祇という莫大な功徳が具わっているのです。ですから、たとえあなた達が無量、億、劫という、喩えようもない想像を絶する時間を費やして、そのことを説いたとしても到底適わないことなのです。」釈尊は開口一番、迦葉をはじめ四人の仏弟子たちが述べた『信解品』について、その正しさをお認めになられ、仏に具わる甚大な功徳について、さらに強調されました。釈尊は師匠として、仏弟子の成長を大いにお喜びになられたでしょうし、四人の仏弟子たちも、師匠である釈尊から理解の正しさを承認され、無上の喜びを感じていたことでしょう。さらに釈尊は言葉をつづけられます。 「迦葉よ、よく知りなさい。仏はありとあらゆる教えの王ですから、説く教えはすべて真実なのです。その教えは、仏の最高の智慧にもとづき、方便という手立てをもって説法をします。その教えはすべての人を一切智地という、ありとあらゆることを知り尽くす仏の智慧の世界に導き入れるのです。仏は生きとし生けるものすべての心の働きを熟知しています。また、あらゆる真理を究め尽くす智慧を体得していますから、生きとし生けるものすべてに、その仏の智慧を示し導くのです。」釈尊は摩訶迦葉に、第二章『方便品』以降くり  返し明かしてこられた、過去世から今に至るまで、真実の智慧に基づき、生きとし生けるものの機根(能力)を見定め、間断なく教化し続けておられることを再説なさいました。-115-

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