『法華経』に学ぶ
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第五章『薬草喩品』は、釈尊が迦か葉しうをはじめとする仏弟子たちに対して「あなた達は仏に具わる功徳について理解し『長者窮子の喩え』をもって実に巧みに的を射た説明をしました」と、その理解を承認された言葉で始まり、結びには「あなた達が歩むべき道は、菩薩としての道です。少しずつ修行を積んでいけば、一人も漏れることなく成仏することが適うのです」と訓戒して幕は閉じました。 それでは次の舞台、第六章『授記品』へと移ります。経題にある「授記」は「記別」ともいいますが、すでに学んだとおり「記」とは釈尊が仏弟子に対して成仏を認可する、また、成仏の保証、須しゅ菩ぼ提だい、迦か旃せん延ねん、目もっ犍けん連れんへの教化は一応の幕が閉成仏の予言ということで、「別」とは具体的に成仏の時期や仏名、そして、その国土の様相や弟子などを分別して明かすことを意味します。ですから経題の『授記品』を平易に表現すれば、説法を正しく理解した仏弟子に対して釈尊が「成仏を認可する章」、「成仏の保証を授ける章」あるいは「成仏の予言を授ける章」とできるでしょうし、さらにかみ砕いていえば「卒業証書を授与する章」ともいえるでしょう。さて『授記品』をもって第三章『譬喩品』の後    ょ半、すなわち「三車火宅の喩え」から続く、迦葉、じます。わかりやすく一連(譬喩説周)の流れをまとめますと、左のようになります。『譬喩品』釈尊の説法       『信解品』仏弟子の告白「長者窮子の喩え」「三車火宅の喩え」       (正説段)↓ 授記品第六①-128-

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