『法華経』に学ぶ
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波は闍じゃ波は提だいが六千人の比丘尼と、出家以前の釈尊の成仏する姿が明かされています。また第十三章『勧持品』では、比び丘く尼に(女性の出家者)である摩ま訶か夫人であった耶輸陀羅が授記されています。ちなみに摩訶波闍波提はき憍ょう曇どん称みとも呼ばれ、釈尊の生母である摩耶夫人の妹で摩耶夫人の死後、じ浄ょう飯ぼん王のうに嫁ぎ釈尊の養母となった人です。さて『法華経』では、他経では明かされる(許される)ことがなかった、生きとし生けるものすべての成仏が明かされていることについては、すでに何度も学んできました。そのことついて天台大師は「法華経以外の経典では、菩薩は成仏すると明かしますが、声聞、縁覚といわれる二乗の成仏は明かしていません。また、善人の成仏は認めますが、悪人は成仏を認められていません。さらに、男性の成仏は説かれているのですが、女性の成仏は説かれていません。そして、人天の成仏は認められているのですが、畜生界にある人の成仏は認められていないのです。ところが、この『法華経』に限っては、生きとし生けるものすべて、すなわち一切衆生の成仏が明かされているのです」と解説をされ『法華経』が他経に対して勝れていることを強調されているのです。もちろん日蓮聖人も、この立場を継承されて「他   経には限られた人の成仏しか明かされていませんが、この『法華経』はすべての人の成仏が明かされていますから、まことにありがたく、頼もしい限りです。 私たちは、釈尊がお亡くなりになられた後の、末代濁世と言われるときに生を享けました。それでも、提婆達多のように父を殺し、母を殺し、仏弟子を殺し、釈尊の教団を破壊する、さらには、釈尊を傷つける(以上、五逆罪)という大罪は犯-130-

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