『法華経』に学ぶ
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していません。提婆達多は五逆罪を犯しながらも、天王如来という仏名を授かり成仏が許されました。ですから、私たちが成仏できないはずはありません。また、八歳の龍女は畜生界にありますが、その身のままで成仏を果たしましたから、人界に生を享けた女性が成仏できないはずはありません」と、『法華経』に限りすべて成仏が許されている、と主張されています。さて『授記品』は、詩句を説き終えられた釈尊が、大勢の仏弟子たちに語りかけられる場面から始まります。それでは経文を訊ねてまいりましょう。 「わたしの弟子、摩訶迦葉は未来世において三百万億の仏たちにお仕えをし、さまざまに供養を捧げ、敬い尊び、尊重の念をもって讃歎するでしょう。そして、これら数多くの仏から授かった偉大なる教えを、広く大勢の人たちに宣べ伝えていくのです。そして修行を重ねた後ついには、煩悩を知ちといって、あらゆる事象を正しく見極める智慧絶ち尽くし清らかな悟りを得、仏になることができます。その仏の名を光こう明みょう如にょ来らいといい、応おう供ぐといって供養に応ずるにふさわしい人であり、し正ょう徧へんをそなえた人で、み明ょう行ぎょう足そくといって最上の智慧を具え、その智慧に基づき行動できる人、また善ぜん逝ぜいとも称せられ、悟りの彼岸へ到達する人です。さらには、世せ間けん解げといって世間の人々をよく導き救済する人で、無上士という最上の人、じ調ょう御ご丈じょう夫ぶといって人々を正しく教え調え導く人、また天人師といって天の神々をはじめ、生きとし生けるすべての師に値する人で、仏といって三世(過去、現在、未来)のあらゆる事象を覚知できる人で、世尊といって世間の人々から最も尊ばれる人なのです」と授記なさいました。-131- 

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