『法華経』に学ぶ
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迦旃延、すなわち閻浮那提金光如来が活動する国は、どこまでも平地が続き、地面には水晶が敷き詰められ、花や実、枝や幹が宝石でできている樹木で飾られています。道は黄金でできた縄で区切られていて、さまざまな宝石の花が舞い散り、辺り一面は清らかで、見る者は喜びに浸ります。ここには地獄界や餓鬼界、畜生界や修羅界の住人は存在しません。多くの神々や人間が大勢いて、数えきれない数の声聞や菩薩がその国を飾り立てています。この閻浮那提金光如来の寿命はとても長く、十二小劫という長さで、この如来が入滅したのち、正法時代は二十小劫続き、像法時代もまた二十小劫続きます。」 迦旃延は閻浮那提金光如来という仏名を授かりました。閻浮那提とは、サンスクリット語=梵語のジャンブーナダを音写した言葉です。ジャンブーとは樹木の名称で、この下を流れる河をジャンブーナダといいますが、このジャンブーナダ河から採れる黄金は「閻浮那提金」あるいは「閻浮檀金」と呼ばれ、黄金の中でも最上級、最上質とされています。すなわち、閻浮那提金光如来とは、閻浮那提から採れる黄金の輝きをもった如来、という意味があるのです。はじめに迦葉が記別を受け、須菩提、迦旃延とつづき、残すは目犍連のみとなりました。目犍連は目連とも称せられ、餓鬼道に堕ちて苦しんでいる母を救う話、いわゆる盂蘭盆の由来として有名な仏弟子です。舎利弗とは同期の入門で、日蓮聖人のお言葉を訊ねますと「仏の弟子に目連尊者という人がおられました。この人は智慧第一といわれた舎利弗と並んで神通第一と称賛されました。このお二人の存在は、須弥山に日と月が並んでいるように、また大王の左右にいつも付き従っている大臣のような存在でありました」とありますから、弟子の中でも特に優れていた人物だと思われ-138-    

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