『法華経』に学ぶ
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第六章『授記品』をもって、第三章『譬喩品』の後半(三車火宅の喩え)から続いた迦葉、須菩提、迦旃延、目犍連ら四人、いわゆる中根の四大声聞と称される中級クラスへの教化は、一応の幕を閉じました。ここで、第六章『授記品』までに記別を受けた仏弟子、記別を受けた章、そして仏名を確認しておきますと・第三章『譬喩品』舎利弗華光如来・第六章『授記品』迦 葉光明如来         須菩提名相如来         迦旃延閻浮那提金光如来         目犍連多摩羅跋栴檀香如来の五人ですが、釈尊の弟子は当然これだけではありません。『序品』では「一万二千人と共にあり」「修行途上の二千人と共にあり」等とありますから、ほとんどの仏弟子たちは、まだ記別を受けていないことが分かります。さて舞台は『化け城じょう喩ゆ品ほん』へと移行します。この章と次の『五百弟子受記品』、そして第九章の『授学無学人記品』の三章は「因縁説周」といわれる段にあたり、初級クラスの仏弟子たち、すなわち先に列記した五人以外の仏弟子たちへの教化、授記が主眼となります。そのことについては天台大師が「釈尊は、初めに上級者のために理論的に説法をされ(法説周・正説・方便品)、次に中級者のために喩え話を用いて説法をなさい(譬喩説周・正説・譬喩品)、そして最後に、初級者のために宿世の因縁を説かれました。(因縁説周・正説・化城喩品)」と、釈尊の説法は弟子の能力に合わせてさまざまに施され、すべての弟子を平等に一仏乗へ導く、と解説されています。化城喩品第七①-140-    

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