『法華経』に学ぶ
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語ごのごとくならず。いかでか此この事ことを顕すべき。但しまわ  ょゅょ 其その上うえにあり。五色の光明を放はなちて夜は昼のごとく、殊ことに法華経は漢土にはやすやすとひろまり候しか。」日蓮聖人は、鳩摩羅什の漢訳について 「羅什三蔵の云いわく、我われ、漢かん土どの一切経を見るに皆みな梵ぼん一の大願あり。身を不浄になして妻をたひすべし。舌計ばかり清浄になして仏法に妄もう語ごせじ。我死ば必やくべし。焼かん時、舌焼るならば我が経をすてよと、常に高座してとかせ給しなり。上一人より下万民にいたるまでがん願して云いく、願くは羅什三蔵より後に死せんと。終ついに死しし給たもう後のち、焼たてまつりしかば、不浄の身は皆灰となりぬ。御おん舌した計ばかり火中にし青ょう蓮れん華げ生おいて昼は日にち輪りんの御光をうばい給き。さてこそ一切の訳人の経々は軽くなりて、羅什三蔵の訳給たわる経々、 と述べられ、鳩摩羅什の漢訳は、ただ単に名訳で、他者の漢訳より秀でている、ということだけではありません。その素晴らしさは、恣意的に訳することが無く、まったく仏意(釈尊の御心)に適い、仏語(釈尊の言葉)を正しく伝えたところにあります。であればこそ『法華経』は中国全土に、そして、日本に伝播したのです。と解説くださいました。ところで、日蓮聖人の信仰系譜を訊たずねますと、インドの釈尊から、中国の天台大師智ち顗ぎ(五三八―五九七年)日本の伝教大師最澄、そして、日蓮聖人へと繋がります。それは、「天台大師は釈迦に信順し、法華宗を助けて震しん旦たんに敷ふ揚ようし、叡山の一家は天台に相そう承じうし法華宗を助けて日本に弘通す等云云。安あん州しうの日蓮は恐らくは三師に相承し法華宗を助けて末法に流る通つうす。三に一を加えて三さん国ごく四し師しと号なづく」と日蓮聖人自らが、法華経流布の歴史的事実を踏まえて「法華経を介した信仰系譜」を表明なされるところから、認知することができます。これを「三さん国ごく四し師し相そう承じう」といいます。(三国=インド・中国・日本 四師=釈-7-

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