『法華経』に学ぶ
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竟きょう」といいますが、天台大師の法華経観を継承し日蓮聖人は天台大師の法華経観を継承され、その思想や教義は基本的に本門(第十五章従地涌出品~第二十八章普賢菩薩勧發品)に依っています。しかし「末法の衆生救済について明かされたのは、この虚空会の説法にあります」と認識され「第十一章宝塔品で、末法の衆生救済の大事が説き 起 こされました。第十五章従地涌出品と第十六章如来寿量品では、その真相や構造が説き 顕 され、そして第二十一章如来神力品と第二十二章嘱累品で、末法の衆生救済の説明が 竟お ったのです」と虚空会の重要性をご教示くださいます。これを「起き顕けんながらも独自の法華経観を樹立され、日蓮聖人の思想や教義はこれを基に派生すると理解できるのです。換言すれば、この「起顕竟」を知らなければ、日蓮聖人が信仰された『法華経』を知ることはできないでしょうし、『法華経』に説かれた日蓮 わ         聖人を知ることはできない、ということなのです。それでは、その「起顕竟」の流れや仕組みを訊ねてまいりましょう。舞台は第十一章『宝塔品』で「説き起こされる」場面です。「霊鷲山での説法の舞台に、突然巨大な宝塔が出現し、虚空(空中)に静止しました。すると宝塔の中から『善哉善哉、釈迦牟尼世尊、能く平等大為に説きたまう。是かくの如し、是の如し。釈迦牟尼世尊、所説の如きは皆是れ真実なり』と大きな声がしたのです」この宝塔を「し証ょう前ぜん起き後ごの宝塔」といい、第二章『方便品』から第九章『授学無学人記品』の正しさを証明し、第十五章『従地涌出品』から以降、つまり本門を説き起こす要因となる宝塔という意味で、声の主は遥か遠い過去の宝浄世界から来た多宝仏でした。慧・教菩薩法・仏所護念の妙法華経を以て大衆の  -146-

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