『法華経』に学ぶ
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さて、弥勒菩薩をはじめとする仏弟子たちは、永遠不滅の仏の存在と、間断なき教化活動を信受致しました。この仏であればこそ、数えきることのできない菩薩たちを、久遠の過去に教化することが適ったのです。ところで、地から涌き出てきた菩薩たちを地涌の菩薩、あるいは本化の菩薩などと称しますが、『宝塔品』で釈尊滅後の弘経要請に呼応し『涌出品』に突如として登場しました。すなわち、滅後末法の弘経を委嘱される仏弟子は、地涌の菩薩であると理解できます。ところが、第十五章『涌出品』で登場した地涌の菩薩たちは、釈尊に安否などを訊ね、丁重にご挨拶を申し上げたほかは、未だ言葉を発していません。そこでいよいよ弘経を発誓し、それを受け止められた釈尊が、地涌の菩薩に弘経を委嘱される舞台、いわゆる「起顕竟」の最終章に相当する第二十一章『如来神力品』の舞台へと展開します。地涌の菩薩たちは、合掌し釈尊の尊顔を拝しながら「釈尊よ、私たちは釈尊の入滅の後に、ありとあらゆる場所において、この教えをお説き致します」と弘経の誓いを述べました。すると釈尊は、委嘱をされるにあたり偉大な神通力を発揮され、十種もの不思議な現象を示されたのです。そして「地涌の菩薩たちよ、諸仏の持つ不思議な力は量り知ることができません。この力をもって委嘱のために『法華経』の功徳を説き続けたとしても、とても説き尽くすことは適いません。要約して言いましょう。如来が体得したすべての真理、如来の自由自在なる不思議な力、如来の肝要な教えの蔵、如来の深遠なる事象、これらのすべてをこの経の中で宣べ示し明らかに致しました」と教えられて、筆頭である上行菩薩をはじめとする四人の菩薩、そして数えきれない地涌の菩薩たちに、滅後末法の弘経を特0-153-   

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