『法華経』に学ぶ
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▼使(本化上行=日蓮大聖人)を(本仏が)遣して(本化上行=日蓮大聖人が)還って告ぐ、汝が父味、皆悉く具足せり。汝等服すべし。速かに苦悩を除いて、復衆の患無けんと。其の諸の子の中に、心を失わざる者は(在世の衆生)、此の良薬の色香、倶に好きを見て、即便ち之を服するに、病尽く除こり癒えぬ。余の心を失える者は(滅後の衆生)、其の父の来れるを見て、亦歓喜し、問訊して病を治せんことを求索むと雖も、然も其の薬を与うるに、而も肯て服せず。所以は何ん。毒気深く入って、本心を失えるが故に、此の好き色香ある薬に於いて、美からずと謂えり。父是の念を作さく、此の子愍むべし。毒に中られて心皆顛倒せり。我を見て喜んで救療を求索むと雖も、是の如き好き薬を、而も肯えて服せず。我今当に方便を設けて、此の薬を服せしむべし。即ち是の言を作さく、汝等当に知るべし。我今衰老して、死の時已に至りぬ(八十入滅)。是の好き良薬を、今留めて此に在く、汝取って服すべし。差えじと憂うること勿れと。是の教を作し已って、復他国に至り已に死しぬと。是の時に諸の子、父背喪せりと聞いて心大いに憂悩して是の念を作さく、若し父在しなば、我等を慈愍して、能く救護せられまし。今者、我を捨てて遠く他国に喪したまいぬ。自ら惟るに孤露にして復恃怙無し。常に悲感を懐いて(自己認識、自己反省)、心遂に醒悟(父=本仏に対する信の回復)しぬ。乃ち此の薬の色香味美なるを知って、即ち取って之を服するに、毒の病皆愈ゆ。其の父(本仏)、子(衆生)悉く已に差ゆることを得つと聞いて、尋いで便ち来り帰って、咸く之に見えしめんが如し〈現在益物閉幕〉応現釈尊の教化終了〈未来益物〉遣使還告による教化

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