『法華経』に学ぶ
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 『序品』の前半部分、いわゆる「通序」といわれる部分では、釈尊の説法を拝聴するために、無数の人々が霊鷲山に集まり、そして各々が釈尊に対して最尊最上の礼拝を終えて、着座している様子が描かれていることが確認できました。これより以降に描かれるのが「別序」といわれる部分で、『法華経』にだけ説かれる特別な意味を持った「序章」にあたりますので、特に注意深く読む必要があります。 さて「別序」では「此し土どの六ろく瑞ずい」といい、霊鷲山の説法の会座に、六つの不思議な現象=瑞相が起こります。また「他土の六瑞」といい、釈尊の眉間から放たれた光に照らし出された、一万八千曼まん珠じゅ沙しゃ華け、摩ま訶か曼まん珠じゅ沙しゃ華けという花が降り注ぎ、素の世界の様々な光景を、聴衆は霊鷲山にいながらにして目の当りにすることになるのです。「瑞」には、めでたいしるし、めでたいこと、更には吉兆などの意味があります。それでは「此土の六瑞」「他土の六瑞」そして、この出来事についての弥勒菩薩と文殊師利菩薩の問答について、お話を進めてまいりましょう。霊鷲山に集まった大衆から、尊い敬いの礼拝、    そして供養を受けられた釈尊は「無量義・教菩薩います。これは、すでに述べました『法華経』の幕開きの経となる『無量義経』を説法なさったということを意味します「一、説法瑞」。この説法を終わられますと釈尊は、静かに無量義処三昧という瞑想にお入りになられました「二、に入ゅう定じょう瑞ずい」。そうすると、天上界から曼まん荼だ羅ら華け、摩ま訶か曼まん荼だ羅ら華け、法・仏所護念」というこの上ない尊い説法をなさ序品第一②-24-

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