『法華経』に学ぶ
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晴らしい香りが辺り一面に充満します「三、雨う華け動しました「四、地動瑞」。この出来事を体験した霊鷲山の聴衆は歓喜し、一心に合掌し、瞑想している釈尊の尊い姿を仰ぎ見るのです「五、衆喜瑞」。すると、瞑想している釈尊の眉間から一筋の光明が放たれました。この光は、東の方向にある一万八千の世界をくまなく照らし出し、その光は最下層の地獄界から、上は最上界の阿あ迦か尼に吒た天てんという世界まで到達したのです「六、放光瑞」。以上の六つが「此土の六瑞」と呼ばれる不思議な現象です。 次に「他土の六瑞」ですが、霊鷲山の聴衆は、「此土の六端」の中の「放光端」いわゆる、釈尊の眉間から放たれた光に映し出された世界の、地獄界から天上界に生きる人々の姿を見ることができました「一、見けん六ろく趣しゅ瑞ずい」。さらに、それぞれの世界瑞ずい」。更には、大地が四方上下(六種)に振にいる仏様の姿を見ることができました「二、見諸仏瑞」。また、その仏様の説法を霊鷲山にいながらにして拝聴することができました「三、聞諸仏説法瑞」。そして、仏様の説法を聞いた彼の土の人々が、教えに従い様々に修行をし、悟りを開く姿を見ました「四、見四衆得道瑞」、大勢の菩薩方が修行に励む姿も見ることができました「五、見菩薩修行瑞」。さらにまた、大勢の仏様が涅槃に入る(亡くなる)様子が見えました「六、見諸仏涅槃瑞」。そして、仏様の舎利=遺骨を納める七宝の塔が建てられるのが見えました。以上の六つが「他土の六瑞」とよばれる不思議な現象です。 霊鷲山に起こった不思議な出来事、また、釈尊の放った光の中に見えた、東方一万八千の国々のさまざまな様子に、弥勒菩薩は大いに驚き、同時に疑問にも思いました。「私は長年にわたり釈尊にお仕えしてきたが、このような光景に出会うのは -25-

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