『法華経』に学ぶ
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・ち長ょう者じゃ窮ぐう子じの喩え『信解品第四』ゅうそれらを列示しますと次のとおりです。・三車火宅の喩え『譬喩品第三』・三さん草そう二に木もくの喩え『薬草喩品第五』・化け城じょう宝ほう処しょの喩え『化城喩品第七』・衣え裏り繋けい珠じゅの喩え『五百弟子受記品第八』・髻けい中ち明みょう珠じゅの喩え『安楽行品第十四』・良ろう医い治じ子しの喩え『如来寿量品第十六』右のほかにも「法華七喩」としては抽出されていませんが、『化城喩品』には「化城宝処」の喩えに加えて「三さん千ぜん塵じん点でん劫ごう」の喩えが説かれていますし、『法師品』には「高こう原げん穿せん鑿じく」の喩えが、『如来寿量品』には「良医治子」の喩えに加えて「五百億塵点劫」の喩えなどが説かれています。また「譬ひ如にょ(譬えば~の如し)」という語も散見されますから、それも含めると相当数の喩え話が『法華経』には説かれていることになります。 それでは、釈尊が語りだされた「三車火宅」の喩えを訊ねてまいりましょう。「舎利弗よ、ある国の、ある村の、ある集落に大ゃ 住んでいるのです。実に広大な屋敷ではあります長者がいました。大長者はたいそう年を重ねており、体は老い衰えてはいますが、その所有する財産は莫大ではかり知れません。また多くの田畑や屋敷も所有していますし、さらには数多くの使用人がいます。長者の住む屋敷は、実に広大なのですが、門はたった一つしかありません。屋敷には数多くの人がいます。その数は百人や二百人どころではありません。五百人もの人が、その屋敷にが、建物はひどく老朽化しており、外壁はくずれ落ち、柱の根元は腐り、梁や棟は傾いて、たいへん危険な状況にありました。」-75-

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