三大秘宝について「本尊 戒壇 題目」
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要請をなさったにも関わらず、不惜身命の決心で、弘教の誓いを述べた菩薩に対して「止みね善男子」と、にべも無く制止なされるんですね。大聖人は「一仏二言、水火の如し」と仰いました。片方では、滅後の弘教を要請し、誓いを立てれば制止なさる。そして、地涌の菩薩を召し出される。これは、如何なることか……。『法華文句』には「前三後三の六義」或いは「止召の三義」といいまして、迹化を制止するに三つの理由があり、本化を召し出すに三つの理由がある、というのですね。時間がございませんから、一々の説明は割愛させて戴きますが、迹化の菩薩を制止して、地の底より涌き出でてきた、上行等の四菩薩を筆頭にした菩薩、地涌の菩薩に『神力品』の舞台に於いて、四句の要法をもって、結要して、滅後の弘教を付嘱なさるのですね。「結要付属」「要法付嘱」ということです。このことについて『本尊抄』には、所詮迹化の菩薩は、初発心時より釈尊に仕えた弟子ではない。本化の菩薩は、初発心時より釈尊に仕え、他仏に仕えざる菩薩であるから、滅後の弘教を付嘱するのだ、とあります。少し本尊の問題から逸れたかも知れませんが、大切な箇所で、日蓮教学を語る上で外してはならない、外すことのできない箇所でありますから、しっかりと押さえて戴きたいと思います。  34

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