Ⅱ.結果の概要・分析2022(令和4)年度 授業アンケート114A.結果の概要・分析 立正大学に在籍している大学院生を対象とした「教育・研究に関するアンケート」は、平成21(2009)年度の開始以来、令和4(2022)年度で14回目となった。令和4年度の対象学生数は186名で、回収できたアンケートは103件、比率にして55.4%となり、昨年度より12.0ポイント改善し、一昨年度のレベルまで回復した(表Ⅲ-1)。とは言え、母集団の小さい中で、実態により近い評価を得るためには回答率のさらなる向上の努力が求められる。 ここで取り上げるのは4群25項目の回答結果である。 「教育内容・方法」:(Q11)の総合評価で「満足」と「ほぼ満足」とを合わせた回答率は92%であり、昨年度と比べ6ポイント上昇し、一昨年度にコロナ禍の影響を受けて83%まで低下した後、順調な回復を見せている。(Q1)~(Q5)及び(Q9)は「満足」と「ほぼ満足」を合わせると88%以上の満足度を達成しており、教育・研究指導は大学院生のニーズに適合していると判断できる。しかし、(Q6)の相互履修・単位互換については、「どちらともいえない」が36%と多く、制度の仕組や開放科目が大学院生に十分に周知されていない、他専攻科目を履修するニーズがない等々の理由についても分析を加える必要があるだろう。また、(Q10)の進路指導については、「満足」と「ほぼ満足」とを合わせて72%と昨年度から5ポイント低下した。多様化する大学院生のニーズに応える進路指導を展開するためには、各研究科での指導の工夫に加えて大学としての組織的取り組みが必要となるであろう。 「学修支援」:(Q14)の総合評価で「満足」と「ほぼ満足」とを合わせた回答率は55%と、昨年度よりも4ポイント上昇した。設問別平均値を見ると、「学会発表」や「留学制度」といった「学修支援」の評価は、それぞれ40%台から50%台(「該当しない」を除くと65%程度)で、ここ数年は横ばい状態にある。その点で、パンデミックの影響により移動が制限される状況の中で、一定の評価を維持しているように見える。とは言え、高い評価を得ているとは言い難く、これらの学修支援策の周知徹底を図るとともに、新たな支援策を展開してゆく必要があるだろう。 「施設・設備」:(Q21)の総合評価で「満足」と「ほぼ満足」とを合わせた回答率は79%と、昨年度から大きな変化はない。(Q15)から(Q19)の教育・研修施設に対する満足度は、コロナ禍による施設利用制限の影響を受けた一昨年度から順調に回復している。品川キャンパス再開発による効果と、一昨年からのコロナ対策のための設備増強が一定の評価を得たものと思われる。しかし、ますます進む教学システムのデジタル化をにらんだとき、(Q20)インターネット環境に対する満足度が低下し、24%もの大学院生が不満を訴えている状況は問題があり、早急に改善を図る必要がある。 「学生生活」:(Q25)の総合評価で「満足」と「ほぼ満足」とを合わせた回答率は88%と、昨年度より10ポイント上昇し、高く評価されている。しかし、個別の項目を見ると、(Q22)経済的支援の満足度68%は昨年度より8ポイント低下し、(Q23)健康管理の68%は7ポイント低下している。これからも低下が続くようであれば、その背景や理由を解明して対策を考える必要があるだろう。 最後に、ここ3年間の大学院生に対するアンケートを平均値の推移から見ると、各質問群の「総合評価」はいずれもコロナ禍前のレベルまで回復した。教育・研究活動の活性化のため、改めて、現行の学修・生活支援策の周知徹底と利用拡充が望まれる。Ⅱ.結果の概要・分析
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