Ⅳ.アンケート集計結果と分析2022(令和4)年度 授業アンケート1369%であり、「少し感じられた」を含めると両期とも9割を超えた。また、(Q7)の先生の話(表4-6)は「非常に聞き取りやすい」と「聞き取りやすい」とを合わせて1期80%、2期83%であった。(Q8)の板書やスライドの読みやすさ(表4-7)も「大変読みやすい」と「読みやすい」とを合わせて1期80%、2期82%で、いずれも昨年度と並んで高水準を維持していた。なお、今年度は原則対面授業で行われたため、(Q9)「役立った教材」としては「配付資料」や「スライド」が圧倒的に優勢であった。 「理解・満足」:(Q10)の授業内容の理解度(表4-8)では、「大変よく理解できた」が4割を超え、「少し理解できた」を含めると1期86%、2期88%となった。(Q11)の新たな知識や考え方の習得(表4-9)では、「大いに得られた」が1期54%、2期56%で、「少し得られた」を含めると両期とも9割を超える。いずれも昨年度並みで、高水準で推移している。 最後に(Q12)の「総合的に判断してこの授業に満足しましたか」(表4-10)という設問では、「大いに満足した」が1期50%、2期53%で、「やや満足した」とを合わせて1期85%、2期87%となっており、これも高い水準を維持している。ただし、履修登録者数別・前年比平均値増減(表10)を見ると、(Q3)授業への取り組み姿勢と同様に、理解・満足も大クラスでは大きく低下しており、オンラインから対面授業に戻った影響が見られる。 授業改善への示唆:回収率が低く、強いサンプリング・バイアスがかかっていることが推測されるため、結果として示された数字については割引きして考察する必要がある。たとえば、(Q2)出席率では7割以上の学生から出席率90%以上(欠席1回以下)という回答が得られたが、必ずしもその数字が全体的傾向や実態を示しているとは言えない。しかし、前年比や経年変化、クロス集計や相関分析によって、授業改善のためのヒントを見出すことは可能である。 まず、前年比や経年変化から見ると、コロナ禍のため全面オンライン授業となった2020年度に、(Q3)学生の取り組み姿勢や(Q4)授業外学修時間に大きな変化が見られた。2019年度と比較すると、学生はより積極的に授業に取り組むようになり、授業外学修時間も延びたのである。前述したように、特に100人以上の大クラスの授業において、その傾向が顕著であった。その影響は2021年度にも及んでいたが、原則対面授業となった今年度は、コロナ禍前の2019年度の状態に戻りつつあるように見える。平常時におけるオンライン授業の効率的な活用法を考える上で、参考とすべき結果である。 次に、出席率(表8)・授業外学修時間(表9)と他の設問との関連についてクロス集計した結果を見ると、出席率は学生の取り組み姿勢を強く反映しており、出席率が高いほど成長実感も満足度も高くなっていた。また、授業外学修時間についても、長いほど成長実感・満足度ともに高くなる傾向にあるが、「4時間以上」では低下している。適度な授業外学修を促す課題であれば効果的であるが、過度に負担の大きい課題が課せられるような授業は学生の成長実感・満足度の向上にはつながらないということであろう。 最後に、相関分析(表12)によると、満足度と成長実感はきわめて高い相関を示し、それは教員の熱意・意欲や授業の聞き取りやすさと強く関連していた。なお、出席率と成長実感・満足度との間には関連がないように見えるが、出席率に関しては「90%以上」と「70~89%」に回答が集中し、きわめて分散が小さいため、相関係数から両者の関連性を判断することは難しいと思われる。クロス集計の結果を踏まえると、出席率が高いほど成長実感・満足度も高くなると考えてよいであろう。
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