Ⅳ.アンケート集計結果と分析 心理学部2023(令和5)年度 授業アンケート100【結果の概要・分析】 Q12の項目について両学科とも「大いに満足」を5点~「大いに不満」を1点と得点化し、学科別の平均を求めると、臨床心理学科1期4.34(昨年度4.30)、2期4.38(昨年度4.40)、対人・社会心理学科1期4.29(昨年度4.27)、2期4.27(昨年度4.23)であった。全学平均(1期4.31、2期4.38)と比較すると、臨床心理学科は両学期とも全学と同程度に満足度が高く、対人・社会心理学科は1期では全学と同程度の高さではあるが、2期には全学平均を下回っていた。ただし、両学科とも昨年度との比較においては同等の水準をおおむね維持している。 その他の項目について質問項目を大きく2種類に分類して分析・考察した。第一は学生自身の授業への取り組みに関する質問項目(Q2~Q4)であり、第二は授業内容に関する質問項目(Q5~Q12)である。各質問項目群について、(1)全学との比較、(2)各学科の昨年度の値との比較の二つの観点から検討した。 両学科ともいずれの学期でも全学平均より受講率(Q2)は高いが、授業への積極的取り組み(Q3)は臨床心理学科では全学平均と同程度であるものの、対人・社会心理学科は低かった。授業外学修時間(Q4)の授業1回に対して30分未満の割合は、臨床心理学科では昨年度は両学期とも約50%であったが、今年度は約35~40%と改善しており、全学平均と同等の水準となった。対人・社会心理学科では、昨年度は約60~65%であったが、今年度は約50%前後まで改善しているものの、全学平均よりは低い水準となっている。心理学部の学生の特徴として、受講率は高いものの授業への取り組み姿勢が消極的であることがかねてより課題とされてきたが、臨床心理学科においては全学と同水準まで改善がなされてきている。対人・社会心理学科においても授業外学修時間については改善傾向にあるものの、依然として課題は残されている。また、両学科とも2年生の授業への積極的取り組み(Q3)の数値が昨年度に比べて低下していることから、この傾向が何を意味するのかについては、引き続き数値の変動を注視するとともに、入試やGPAなどのデータとの照合を行い考察する必要があるだろう。 授業内容に関する質問(Q5~Q12)については、臨床心理学科はすべての項目が全学平均と同程度かやや上回っている。対人・社会心理学科は、1期は全学平均とほとんどの項目が同程度であるものの、2期は全学平均をほとんどの項目が下回っている。昨年度と同様に話の聞き取りやすさ(Q7)、板書やスライドの見やすさ(Q8)に課題が生じ、その結果、授業の理解度(Q10)や満足度(Q12)の低下につながったと考えられる。ただし、Q6~Q12の項目は1つを除き昨年度よりは上昇していることから、本年度の改善を続けていくことが重要となってくるであろう。授業内容に関する質問(Q5~Q12)に関しても両学科とも2年生の数値が低下している箇所が多く認められており、この点については今後も注視する必要があると考えられる。 また授業改善アンケートの回答率は、臨床心理学科は1期60.1%、2期54.6%、対人・社会心理学科は1期56.4%、2期51.5%であり、十分に学生の意見を反映できているとは言い難い状況があるため、より有効な授業改善策を検討するための材料となるように回答率を向上させることも課題としてあげられる。【授業改善への活用方法】 心理学部においては毎年FD研修会を積極的に実施してきたことから、少しずつではあるが授業改善の成果がみられてきていると考えられる。今後もFD研修会を充実させ、授業改善に努めていきたい。また、2025年度よりカリキュラム改正を行い、臨床心理学科では心理実習の充実やさまざま進路に向けたカリキュラムを導入する計画や、対人・社会心理学科では「アクションリサーチ科目(仮)」を導入する計画が進行中である。両学科とも実習授業の充実を目指した計画になっており、この改正が学生の授業への積極的な参加や、授業外学修時間の向上につながることが期待される。また、授業改善アンケートの回答率を向上させるために、教授会などを通して教員にその意義の理解や実施への協力を促していく。心理学部
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