survey_2023
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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そもそも、「学生による授業評価」は1991(平成3)年の大学審議会(現在の中央教育審議会大学分科会)答申「大学教育の改善について」において自己点検・評価システムの一例として登場しました。さらに、1998(平成10)年の答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」および、その翌年の大学設置基準改正によって、自己点検・評価の実施と結果公表が義務化(後に第三者による評価も義務化)されたことで、「学生による授業評価」は多くの大学で実施されるようになりました。こうした政策動向の下、本学の授業改善アンケートは、2000(平成12)年度にスタートしました。 当時、第三者機関(機関別認証評価機関)である大学基準協会は、「教育内容等の組織的な改善」の評価基準として、「学部等における教育方法の充実を促進するためには、教員の教育能力の向上を不断に図ることが重要である」とした上で、「教員の授業内容、授業方法の改善と向上に向けて、学生による授業評価の導入と活用、研修会の開催等、ファカルティ・ディベロップメントに関わる各種の組織的な取り組みを促進する必要がある」ことを示しています※1。 また、近年の認証評価(大学評価)では、自ら点検・評価を行うことで課題を発見し、それを改善・向上する『質保証のサイクル』が有効に機能しているかを特に重視・評価する傾向にあります。個々の授業科目レベルにおいては、授業改善アンケートを積極的に活用し、右図のような質保証のPDCAサイクルを有効に機能させていくことが重要となってきます。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ アンケート部会では、アンケートの実施方法の検討や実施運営の他、アンケートを有効に活用していくための運用方法を検討しています。今年度は、授業改善アンケートの目的の一つである「大学、学部、学科として教育力向上の検討」に活用していくための新たな集計方法を部会にて検討しました。「新たな集計方法」についての議論から、授業改善アンケートの回答データで検証が可能と思われる受講者規模別の集計による「対面の講義形態の授業については、少人数授業の方が多人数授業より学生の内容理解度が高い傾向にあるのではないか」という仮説に基づいた分析を、今回は行ってみたいと思います。 以下の表は、2022年度から2023年度の回答データを基に、対面の講義形態で回答率が3割以上の科目を抽出して、科目別の学生の積極性(Q3の回答平均値)と内容理解度(Q10の回答平均値)とを算出し、受講者規模別50名以下と51名以上とに分けて平均値の比較を行ったものです※2、3、4。実際の授業・研究指導シラバス次期以降の授業改善事例共有取組みの実施方針・計画等の策定改善・向上授業改善アンケート取組みに対する点検・評価Ⅳ.アンケート集計結果と分析DoPlanCheckAction2023(令和5)年度 授業アンケート54 2000(平成12)年度に授業改善アンケートが開始されて以来、「学生の学修姿勢を知るため」、「教員が自らの授業改善を行う資料を得るため」など、様々な目的でアンケート結果が活用されてきました。その一方、アンケートの在り方や活用については、批判も含む様々な意見があり、こうした声は本学に限らず全国的な傾向でもあるようです。 そこで自己点検・評価小委員会アンケート部会(以下、「アンケート部会」という)では、掲題のとおりレポートをまとめました。本稿では、授業改善アンケートが教育政策・法令上どのように位置づけられているのかを整理した上で、前向きに授業改善アンケートを実施・活用していただくことを目指し、アンケート結果の検証・分析を行います。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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