受講者規模(0.12)(0.14)(0.13)(0.11)(0.12)(0.20)(0.16)(0.09)4.374.234.394.314.354.234.394.31■授業改善アンケートをどう使う?(一教員の授業改善アンケート体験記) 授業改善アンケートでは、授業内容の理解度を問う項目があります。「10分でわかる」入門書が売れるご時世ですので、私も授業のなかでは「わかりやすさ」を重視してきました。その一方で、「あともう少しでわかる」という「わかりづらさ」にも惹かれる私は、「わかりやすさ」が学生の考える楽しさを奪っているのではと思い始め、ここ数年は「わかりやすさ」の質を変化させています。 たとえば、レジュメはもともと箇条書きでシンプルなものでしたが、さらに文字数を減らしたレジュメを作成しています。一見すると「わかりやすい」レジュメですが、ただ読むだけでは内容が理解できない難易度になっています。それにも関わらず、理解度の項目の点数は下がりません。それならば、次年度はもっと余白だらけのレジュメを作成してみようという、積み上げたブロックを一本ずつ抜き取るジェンガのような「わかりやすさ」をめぐる戦いを授業の中で行っています。※1:『「大学基準」およびその解説 学士課程基準 修士・博士課程基準』平成16年5月大学基準協会資料第58号※2:本学の講義形態には、「講義」の他、「演習」「講義・演習」「講義・実習」「実技」「実験」「実習」がある※3:各設問の回答は5件法を採用し、5.0が最も肯定的な回答となる※4:平均値の比較にあたっては、対応のない2群のt検定を実施し、すべての年度・期で有意差が認められた(P<0.05)※5:2023年度第2期においては、学生の積極性(Q3)と内容理解度(Q10)についても有意差は認められなかった※6:大学における教育内容等の改革状況について(令和3年度)n=467n=397n=367n=401n=834n=798n=448n=320n=768回答率3割以上の科目対象5-50n=402n=444(差)全体平均n=846年度設問2022年度Q10Q10Q3Q32023年度1212期Q104.464.344.444.354.414.304.444.35Q10Q351-Q3https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/1417336_00010.htm(経営学部・社会学担当・本柳 亨)文責:自己点検・評価小委員会 アンケート部会Ⅳ.アンケート集計結果と分析4.304.144.334.254.284.164.324.262023(令和5)年度 授業アンケート学生の積極性(Q3)と内容理解(Q10)平均※対面・講義かつ55 学生の積極性(Q3)と内容理解度(Q10)の回答の平均値はいずれも、受講者規模が小さい「5-50」名の科目の方が、高い値であることが分かります。差が出る原因としては、対面の講義形態の科目については、受講者規模が小さい科目は、教員と学生のコミュニケーションが取りやすいことが想像できます。例えば、授業時間内での学生の発表の機会が増えることにより、学生自身が積極的に授業に参加した自覚が強くなることや、教員と学生間では、個別のフィードバックの機会が多くなることで、学生の理解が深まる機会が多いことが考えられます。このように、対面の講義形態による少人数授業では、学生の授業への積極的な参加や授業内容を理解した自覚が高い傾向にあることが窺えます。なお、回答率3割以上の科目と限定しなかった集計においては、2022年度第2期および2023年度第2期において、新知識習得(Q11)と総合満足度(Q12)の回答平均値に有意差は認められなかったことから※5、単に多人数より少人数の授業の方が良いという結論ではなく、多様な授業規模の中で学生が学んでいくことには意味があり、多人数の授業においても工夫次第でより高い値が出ることを付記いたします。 改めて、アンケートを「大学、学部、学科として教育力向上の検討」に活用していくためには、真実との乖離を避けるためにも全学の回答率が50%以上を保つ必要があると考えます。そのためにも教員のアンケートに対する理解と実施協力が不可欠です。 さらに文部科学省調査※6(括弧内は全国大学の実施率)では、「学生による授業評価」に関する取り組みとして、「授業アンケートの結果を組織的に検討し、授業内容等に反映する機会を設けている」(72.9%)、「学生を教育改善委員として任命している」(9.9%)、「ファカルティ・ディベロップメント活動に学生が参加している」(14.2%)などが示され、単に授業改善アンケートを実施することに留まらず、その結果を組織的に活用することや、学生を単なる回答者として以上に積極的に参画させること等が期待されています。本学においても、授業改善に寄与する取り組みついて、さらなる検討が望まれます。
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